いきいき人生
ライフ・アクト

中日新聞7月31日(06年7月31日)

総合面にて「癒しの音、風鈴音楽」としてカラー写真入りで紹介。

《全文紹介》

涼しげな音が私たちを癒やす風鈴。その音色を、風に代わって白分で奏でる人がいる。「世界でも私一人だけだろう」という風鈴演奏家・古田慎さん(37)神奈川県厚木市だ。(石井敬)

チリン、チリン、チリリーン…。つるされた七個の江戸風鈴の短冊を、束ねた烏の羽根で吉田さんが優しく触れていく。奏でるメロディーは大きくなったり小さくなったり、強くなったり弱くなったり…。自作のシンセサイザー音楽と、東丹沢七沢温泉郷(同市)で録音した川のせせらぎなどを合わせ、幻想的な「風鈴ミュージック」ができあがる。

世界各地の風鈴コレクションがそろう吉田さんの白宅で、その一端を披露してもらった。少し聴いているだけで気持ちが落ち着き、眠気すら催しそうになる。

「風鈴の音色の『ゆらぎ』は、脳に働きかけて安らぎに導くアルファ波を誘発する。
小鳥のさえずりなど自然界にある癒やしの音と同じ高周波音を含んでいるので、リラックス効果が大きい。」古田さんがそう解説してくれる。

風鈴演奏に専念するため、営業職をしていた食品メーカーを昨年退社した。今年からコンサート会場や福祉施設などでの演奏活動を本格化。全国各地を飛び回る。

「老人ホームに行った時、『一時問の演奏で、途中で帰るお年寄りがいなかったのは初めて』と職員に一言われた。風鈴には何か伝わるものがあるのでしよう」。

中学時代からシンセサイザーなどで作曲活動をしていた吉田さんが「風鈴」にたどりついたのは、三十五歳の時だ。

当時、「自分の音楽には何かが欠けている」という物足りなさを感じていた。あるコ
ンサートで中国製の風鈴の音を聞き、少年時代に風鈴の音にやすらぎを覚えていた体験が呼び起こされた。数カ月後、自分の追い求めてきた音楽が「風鈴ミュージック」として完成した。

CD制作してインターネットで販売し始めると支持が広がった。昨年、風鈴演奏家としての収人が会社員の給料を超えた。これまで制作した四枚のCDは音楽療法としても注目され、各地の医療機関で活用されている。

風鈴というと夏の風物詩というイメージが強いが、冬の曲にもびったり合うという。
吉田さんは「四季を通じて聴ける癒やしの音にしたい」。

これからカを入れたいのが、海外での演奏活動だ。
「世界中に『ウインドチャイム』と呼ばれる風鈴はあるが、日本の風鈴の音のように奥が深くて余韻が長いものはない。世界中にそれを紹介して回りたい」。メキシコ・クエルナバカ市の関係者から招待を受け、秋には初めての物外公演を予定している。


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